2019年5月

  真菰(マコモ)ご存知ですか?
 「真菰 マコモ」は、イネ科の多年草で、縄文時代からドングリやクリなどと共に主食とされ、衣食住のすべてに適応していたという古い歴史があります。中国をはじめ東南アジア諸国では、高い栄養素から古くから食用や薬用に使われ、北アメリカではインディアンにもアメリカマコモを食べる習慣(ワイルドライス)があり、世界的にも貴重な食料とされていました。

「神の草」「神が宿る草」とも呼ばれ、古事記や万葉集にも登場。マコモの葉は全国の多くの神社の御神体として使われたり、神事や注連縄に使われてきました。出雲神社では、本殿水垣内の摂社のしめ縄に真菰が使われます。また、夏越の祓の茅の輪に真菰を使う神社もあります。

「精霊が宿る草」と言われる真菰。稲作文化以前から湿地帯の多い日本では、水の守り神と同一視し、水、土とつながり広がる循環社会を大切にしてきました。
6月1日の「涼殿祭」は出雲神社で行われる真菰神事稲佐の浜の砂が盛られ、その上に真菰が敷かれ、神が通られる道を作るのだとか。しかし、今や「マコモって知っている?」と聞いても一部の人しか知らない状態です。


<浄化力>
真菰の浄化力は昔から知られており、水辺に生える真菰は自らの命である水を浄化します。自らの力で汚染や毒を浄化するという自浄作用は、水のみならず、血液も浄化します。マコモ茶などの形で体内に吸収されると、血液、リンパ液、体液の浄化をし、老廃物を排出し、血管の強化もされ血流の流れもスムーズにします。そのため、腸内環境改善、放射線物質有害物質の排出を助け、血液浄化、造血、解熱、整腸、糖尿病予防、精神安定する効果があると証明されています。
 マコモの葉を乾燥した束を部屋に置けば、室内空気が清浄化され、シックハウス症候群を著明に減少させます。「場空間の浄化」もしてくれるとされ、そのことから仏事、神事に使われてきました。 


<真菰の特徴>

稲のような実(米)ができます。縄文時代には菰米(こもまい)と呼ばれ、アサの実とともに主食とされていました。古くは、葉、根、花穂などは薬草として使われていました。しかし、花穂は熟すと非常に落果しやすく、また同時に熟さないため、収穫するのには不便でした。そのため、縄文時代には主要な穀物とされていたものが、後にイネに変えられたようです。(現在日本で栽培されている品種では花穂はできません)

<マコモタケ 菌食>
マコモタケはマコモの感染(共生)した黒穂菌が作るキノコです。菌に感染した部分がふくらんでキノコのような野菜になります。
9月から10月ごろスーパーにも陳列されます。味は淡白でタケノコとシイタケとアスパラガスを合わせたような食感。和洋中の調理法でいただけます。(黒い斑点があってもちゃんと食べることができます)漢方の『本草網目』にマコモタケは「心臓、肺臓、脾臓、肝臓、腎臓の五臓を調和し、機能を高める」とあり、血液の浄化、血糖値を抑える、免疫力を高めるなど、現代の病には薬より大事ではないかと思うほど!

<真菰の葉>
ビタミンA、C、E、葉酸などの含量が高く、必須アミノ酸や旨味アミノ酸も豊富で、食物繊維に富んでおり、抗酸化力に優れています。これらの点に着目し、粉にして麺類、菓子類、お茶として使われています。

<多様性>
日本では食用としてだけではなく、マコモタケから採取した黒穂菌の胞子をお歯黒や眉墨、漆器の顔料として使われた歴史もあります。また、コウゾや糊料などを全く加えないでこの葉だけで和紙を作ることができ、マコモ和紙には消臭効果、食品の鮮度保持効果、害虫忌避効果なども認められています。神事に使う御座も真菰の草を乾燥させて編んだものを使われます。

本来は、常に私たちの身近にあった真菰を日常から失ったのは、1961年にできた農業基本法に基づき、湖沼や河川の護岸をコンクリートで固めてしまったため。マコモをはじめ、メダカやドジョウなどの水生生物相をも含めて姿を消してゆくことになりました。本来の日本の姿から病気が増えていっている現代。そろそろ本気で未来に何を残していくのか?しっかりと考えなければならないのではないでしょうか?