2018年9月

  見えている世界だけで大丈夫?
 1000年以上も日本独自に発展した『漢方医学』が、西洋医学におされ、消滅の危機を迎えた時、地道に漢方の重要性を説き、「西洋薬で無理なところは漢方薬で治療する」という地位を確立したのが「大塚敬節(おおつかよしのり)」先生です。その大塚先生から歴代の漢方の名医が現れ継承され今日まで「漢方」が存続しています。

お弟子さんによると、大塚先生は『患者さんが戸を開けて入って来た時処方名がすく出てくるまでになりなさい。そしてその時出てきた処方名を決して忘れてはならない』と、言われていたそうです。今となっては身に染みてその言葉が腑に落ちる。

漢方では、望診がまず基本になります。左図のようにまず全身を観ます。普通、この時点では大まかな状態を把握する程度ですが、前述の大塚先生は、ここで患者さんの「気」を読み取り、処方まで出てくるというわけです。その後は「問診」を行います。この時、ベテランの漢方医は聴覚を駆使して患者さんの声の力や呼吸音などを聞き取ります。そして舌の色を診たり、脈を読んだり、腹部などの触診を経て処方を確定します。つまり、漢方医は望診の間、五感をフル活動させなければならないのです。


身体を作る3要素→気 地、水
診察は感覚を研ぎ澄ませながら「気、血、水」が身体の中でどこかに停滞していないかなど、細かい観察を要するものが多い。
しかし、現代は医師のみならず患者さんまで、数字や言語化できるデータに頼りきっている。データに頼るなとは言いませんが、そのデータをしっかりと見ることができますか?と言いたい。脳の処理する8割は視覚情報ですが、自分に都合よく見ます。
 すでにAIは人間の左脳部分の能力を上回るディープランニングを行い、独自の法則を見出し、検査結果から病名診断と治療法を導き出すなど、人間の情報処理能力を遥かに超えるものになってきています。どちらかに頼るのではなく、融合し医療のバランスをとるためにもAIが苦手とする言語化できない情報(気など)を重視する東洋医学は、今後必要性を増してきます。医学のみならず、日常生活でも「見えない世界」の感覚を磨いていかないと、全体的なバランスが取れなくなり、必要以上の不安に翻弄されるのではないでしょうか?

◆医学も西洋医学と東洋医学の両方なければならない◆
左脳:言語処理を行う
西洋医学        
言語化を重視した医療
見える化された世界(根拠が
ないと自信が持てない)
右脳:非言語処理を行う
東洋医学
言語化できない情報を重視
した医療 
見えない世界
     
(根拠のない自信)
 
→ 総合医療
  ホリスティック医療