2019年4月
 答えや結果を早く求めたがる人たち
 当薬局で、漢方相談を日々の業務として取り入れたのは、平成が始まって数年してから。そして今月は平成最後の「心むすび」になります。そこで、平成の約30年の漢方相談を振り返って、時々不思議に思いつつも、立ち止まってじっくりと考えてこなかったことですが、ふと気づいたことがありました。それは、まるで宇宙の采配のように「この病気を勉強しなさい」という感じで、ある期間に集中して何人も“ある病気”の方が来られること。

その時々で、今回はその病気を勉強しなさいということだと思い、病気についてほぼ専門家になるくらい毎回調べ、その方が望む治療法などをアドバイスしたり、漢方的な治療を開始します。心理学を取り入れてからは「心身一如」で取り組み、10人に10通りの多様な組み合わせで治療を行い、様々な西洋医学だけでは治癒しづらい病気に対応してきました。

そのおかげで、多様な治療法を経験させていただいています。そのたびに引き出しがいっぱいでき、知らないうちに多様性を身につけていったことになります。

 そのような当薬局の流れに反して、ある時期から漢方相談やカウンセリングを希望してこられる方々の中に『
正しい答えや、成果・結果が早くほしい!』と求めてくる人々が目立ってきました。それを欲するのであれば、早く決着のつく西洋医学で治療しましょうとなるのですが、その方々の本当の希望は、根本治療・体質改善なのです。身体中の細胞がすべて入れ替わるのには7年もかかるのに!

学校教育は湯水のように情報を与え続け、「正しい答え」という模範解答をインプットし、それをいかに早く思い出しアウトプットできるかを競争して、常に「優劣」で評価し続けた結果、「本質」や「真理」に気づくことができなくなってしまっている現代。その結果、『
正しい答えや、成果、結果を優先する』という人たちが増えてしまったのではないでしょうか?

「真理はシンプルです。そしてシンプルなものは美しい。真理はシンプルで美しいけど、現実は複雑です。陰陽五行はいかようにも解釈して構いません」と、昔習いました。このことから、「真理」を陰陽五行でシンプルに解釈し、その真理を用いて複雑な現実を「多様性」で乗り切っていると思います。それは結果はどうあれ、途中の過程や努力が優先されるもの。努力は、報われることもあれば、報われないこともある。報われなかった時に別の視点でやり直してみる。優しいだけの「和」ではなく、厳しさも加わった「和」の時代へ。今年東京大学の入学式式辞で、名誉教授の上野千鶴子さんがそれとピッタリのお話をされ、話題になったのも、記憶に新しいところですね。

「メタ知識」を身に付けることは大学でなくてもできます。当薬局でも様々なセミナーを通して行っていきます。