アトリエ通信 2020年2月

 

シニアアートの現場から 幸せな暮らしを考える

毎月1回、市内の有料老人ホームに出向きアートセラピーをさせていただき5年になります。24時間見守りあり、365日一定温度の冷暖房完備。至れり尽くせりの環境です。

例えばAさんはもともと一人暮らしの方。転んでケガをしたので、ご家族が心配され、この施設に入居することになりました。当初は介護度的には家で暮らせるレベルで、少し認知症状はあったもののしっかりしておられました。半年もたたないうちに5分前のことも忘れてしまうほど認知が進み、周囲を見ながら周囲に合わせて行動するようになられました。

一方、90歳近くで一人暮らし。あえて施設に入居せず暮らしている方が毎月漢方相談に来られます。段差だらけの日本家屋に住み、時々転んで骨折などケガをすることがあっても、回復され「不便だ」と愚痴を言いつつも認知症もなく元気に生活しておられると聞きました。

「日本は気候変動の激しい風土なので本来日本人は季節に耐えうる強い遺伝子を持っている。それが季節の文化の源」と、陰陽五行のセミナーで習いましたが、冷暖房完備で一年中一定温度を保っている施設の環境では、自分が今どこでどのように生活しているかを認識できず、体内時計も狂い、認知症が進んでしまうのではないかと気づけました。

これを知ると、何が本当に幸せなのか?と考えさせられます。周りが保証してくれる環境で得られる安心感はあります。ただし、鍛える必要はないので、衰えも早くなるでしょう。自分の力で生きて行くのは大変かもしれませんが、日々の暮らしの中で鍛えられることが今を生きる認識になります。

これは私達にもどこでどう生きたいのか?と問題提起されているように感じましたが、みなさんはどうでしょうか?